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MINIのカスタムを追求していくと、時に「可愛い」の枠を超え、息をのむほど美しい芸術品のような一台に出会うことがあります。

こちらは、AAバンを購入したマーズスピードジャパンに展示されていたMINIです。その名は、ミニ・ブロードスピードGT(マーズスピードジャパン仕様)。
幻のカスタムクーペ「ブロードスピードGT」をオマージュして製作された一台で、流れるようなルーフラインと独特のリアスタイルは、思わず足を止めて見入ってしまうほどの存在感がありました。
もちろん、美しさだけではありません。
フロントフェイスには、バッジバーやカーバッジ、フォグランプなど、クラシックミニならではのアクセサリーが美しく配置され、オーナーのこだわりが細部まで感じられます。見れば見るほど興味をかき立てられるこの一台。
GTOとは、いかなるモデルなのか。そして、愛車ルンバのような一般的なクラシックミニにも取り入れられるカスタムのヒントはあるのか。
今回は、その魅力をじっくり探ってみたいと思います。
バッジバーカスタムとは?

まず目を引くのがフロントフェイス。グリルは、ルンバと同じMk-1仕様です。通称「カツオブシ」と呼ばれるオーバーライダーも装着されています。
しかし……よくよく見ると、何かが違います。そう、AAバッジがグリルではなく、一本のバーの中央に堂々と取り付けられているのです。その隣にはフォグランプも美しく配置され、クラシックな雰囲気をより一層引き立てています。
ここで注目したいのが、フロントグリルの前に取り付けられたこの一本のバー。私が知る限り、MINI友さんの中で装着している方は一人もいません。それほど珍しいアイテムなのでしょうか。そして、このバーは一体何のために存在しているのでしょう?
バッジバーとは?
1930〜50年代の英国車文化から生まれ、クラシックミニが黄金期を迎えた1960年代にも受け継がれてきた伝統的なドレスアップです。当時の英国車や高級車のフロントグリルは、重厚な金属製の縦格子が主流でした。そのため、現在のようにグリルへ直接バッジを取り付けることができませんでした。
そこでオーナーたちは、バンパーステーから一本のバーを伸ばし、そこへクラブバッジや記念バッジを並べて愛車を飾るようになります。これがバッジバーの始まりです。
現在のローバーミニでは、グリルへ直接バッジを取り付けるスタイルが主流となり、実際にバッジバーを装着した車両を見かける機会はほとんどありません。それでも、このGTOを見て感じたのは、その時代の空気感をそのまま受け継ぐMk-1スタイルだからこそ、バッジバーというアクセサリーが一層映えるのかもしれません。
こんな奥深い歴史を持つバッジバー。好奇心で、ちょっと着けてみたくなります。実際のところ、クラシックミニ専用品であれば、バンパー周辺の既存の固定部を利用して装着できる製品もあります。製品によって取付方法は異なりますが、大掛かりなボディ加工を必要としないタイプも販売されているため、DIYに挑戦しやすいカスタムの一つです。
バーを装着後は、お気に入りのアンティークバッジを並べれば、英国クラシックカーらしいフロントフェイスが完成します。見た目を飾るだけではなく、その歴史まで愛せるのが、バッジバーというカスタムの魅力です。
※現在、バッジバーは英国のクラシックカーパーツ専門店や海外オークションサイトなどで取り扱いがありますが、国内では流通が少ないレアアイテムとなっています。販売しているショップを見つけた時はご紹介しますね!
カーバッジ(Car Badge)

こちらがバッジバーに取り付けられている、カーバッジ(Car Badge)です。代表的なのが、AA(英国自動車協会)やRAC(ロイヤル・オートモービル・クラブ)のバッジ。これらは単なるアクセサリーではありません。
当時の英国では、「私はこの格式ある自動車クラブの会員です」と示す、いわば会員証であり、ステータスシンボルでもありました。そのため、真鍮やエナメルを使って重厚に作られ、オーナーたちは誇らしげにバッジバーへ掲げていたのです。
正直なところ、そんな歴史を知らなかった私たちにとっては、「存在感のあるバッジ」or「前方に直立して取り付けるクラシックなアクセサリー」くらいの認識でした。ルンバにもバッジバーは装着されていないため、どこか自分とは縁のないアイテムだと思っていたのです。しかし、その歴史を知った今では見え方がまったく変わりました。
たかがバッジ。されどバッジ。一枚のバッジには、英国車文化やクラブの誇り、そして当時のオーナーたちの想いまで込められています。そう考えると、単なる「オシャレアイテム」だけでは語れない、どこか ”神聖さ” さえ感じる存在に思えてきます。
現在では、英国車イベントやクラシックミニ専門店で復刻デザインやアンティーク調のバッジを見かけることもあります。
お次は、グリルへ気軽に装着できる「グリルバッジ」について見ていきましょう。
グリルバッジ(Grill Badge)

我が家のミニクロルンバに装着しているのは、グリルバッジ(Grill Badge)です。カーバッジの文化を受け継ぎながら誕生したもので、現在ではクラシックミニを代表するドレスアップアイテムの一つとなっています。
カーバッジがクラブの会員証やステータスを象徴していたのに対し、グリルバッジは愛車を自分らしく彩るためのアクセサリー。イベントの記念バッジや、お気に入りのデザインを気分に合わせて付け替えられるのも魅力です。まるで「着せ替え人形」のように、MINIの表情を自由に変えて楽しめる遊び心あふれるアイテムと言えます。
実は、私たちもグリルバッジの取り付けには試行錯誤の連続でした。丸いバッジと変形バッジを組合わせるのはイケてんのか?左右どちらに付けるのがベストなのか?グリルとのバランスはどうすれば美しく見えるのか?などなど。真夏のガレージで何度も付けたり外したりを繰り返し、途方に暮れたこともあります。最終的に2個というスタイルに落ち着きました。
「グリルバッジは何個までがバランス良く見えるのか?」
「取り付け方法は?」
「おすすめの楽しみ方は?」
そんな疑問については、実体験をもとにこちらの記事で詳しく紹介しています。
フォグランプ

ヘッドライトと並び、今でも定番カスタムとして多くのMINI乗りさんに愛されているのがフォグランプです。クラシックミニには古くからラリーカー文化があり、フロントにフォグランプやドライビングランプを装着したスタイルは、今でも根強い人気があります。
我が家のルンバも例外ではありません。グリルバッジを装着した後、主人はちゃっかりフォグランプまで追加していました。とはいえ、実際に点灯する機会はほとんどありません。笑
もちろん霧の日に役立つ装備ではありますが、我が家では「オシャレしてます!」というアピールが圧倒的に大きい気がします。それでもフロントフェイスにフォグランプが加わるだけで、クラシックミニらしい雰囲気はぐっと増します。まさに、実用性とロマンを兼ね備えた定番カスタムです!
さらに、1969年公開の『ミニミニ大作戦』、そして2003年公開のリメイク版でも、MINIたちはフォグランプやドライビングランプを装着した印象的な姿で登場します。映画の世界から生まれたカスタムが、今も多くのMINI乗りに受け継がれているのです。
フォグランプの種類や魅力、映画に登場するMINIとの違いについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
ミシュランマンがお守り

バッジバーに目を奪われがちですが、もう一つ気になったのが、オーバーライダーと連結する左右のコーナーバーに、シンメトリーに座る "ミシュランマン(ビバンダム)" です。実はこのミシュランマン、英国をはじめヨーロッパのクラシックカーではおなじみの存在。ボンネットやバンパーへ取り付けられ、旅のお守りや愛車の相棒のような存在として親しまれてきました。なんとも言えない愛嬌があってクラシックミニにもなじんでます。
ちなみに、「ビバンダム(Bibendum)」という名前はラテン語の "Nunc est bibendum(さあ飲もう)" に由来しています。現代の日本では「飲酒運転はもちろん禁止」ですから、「えっ?」と思ってしまいますよね💦
もちろん、お酒の話ではありません。当時のミシュラン広告では、道路に散らばる釘やガラス片などの障害物を "飲み込む" ように走破するタイヤの強さを表現したキャッチコピーとして使われました。そのユーモラスな発想には、ヨーロッパらしい遊び心も感じられます。
こうした遊び心を愛車に取り入れられるのも、クラシックミニならではの魅力かもしれません。
アルミ製のリアボディ

こちらが、幻のカスタムクーペを現代に蘇らせたマーズスピードGTO仕様のバックスタイルです。
一見するとクラシックミニですが、Bピラーから後方へ続く美しいルーフラインと、コンパクトにまとめられたトランク。その姿は、クラシックミニというより、小さな英国製クーペを思わせるシルエットです。

思わず見惚れてしまう、この特別なリアボディ。 実はこの美しい造形は、熟練の職人さんがアルミ板を一枚一枚手作業で叩き出して成形しているそうです。
1960年代のオリジナル・ブロードスピードGTでは、軽量化のためFRP製パネルが採用されていました。 しかし、このマーズスピードGTO仕様では、あえてアルミを使い、アストンマーティンやフェラーリのヴィンテージレーサーを思わせるハンドメイドのコーチビルドという手法で、一台ずつ丁寧に仕上げられています。
ただ形を再現しただけではありません。 当時のクラフトマンシップまで受け継ごうという、作り手の想いが込められた一台なのです。 こうした職人技を目の当たりにすると、もはや「カスタムカー」という言葉では表現しきれません。
私の目には、一台のクラシックミニではなく、英国車文化への敬意が込められた芸術作品として映りました。
編集後記
昨年はAAバンの仕上がりを見守るため、何度となく「マーズスピードジャパン」を訪れました。そのたびに気になっていた一台が、このGTOです。英国クーペの気品をまとい、バッジバーやカーバッジ、フォグランプなど、クラシックカーならではの遊び心も散りばめられた特別なMINI。
主人はAAバンとの運命的な出会いに心を奪われましたが、私は完全にこのGTOに一目惚れでした。
クラシックミニは、不便なこともたくさんあります。それでも惹かれてしまうのは、見た目だけでは語れぬ物語があるからです。一つひとつのパーツに歴史があり、意味があり、作り手やオーナーたちの想いが宿っているから。
今回GTOを通して、そのことを改めて教えてもらいました。これからも、ブログを通してMINIの歴史や物語を紹介していくつもりです。
そして、やっぱり、MINIは "見た目で恋をして、物語に魅せられるクルマ" なんだと思います💛
Special thanks to Mars Speed Japan.
For preserving the spirit of the classic Mini.
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