
A classic Mini AA van has finally arrived in Osaka,
carried by a striking red transport truck.
ついに訪れた AAバンの納車日。この日を、ずっと心待ちにしていた。
パーツの取り寄せ、予備車検、他の車両とのスケジュール調整。
納車日は二転三転した。
そのたびに少しずつ遠のいていくような不安もあったけれど、確実に近づいている感覚もあった。
最終的に、私たちは迎えに行くことを選んだ。
主人の知人が営む板金塗装工場が新しい積載車を購入したという。
お願いしてみると快諾。
日程も、すぐに決まった。
まるで—— 嫁入りの日に娘を迎えに行くような気持ちだった。
納車当日。
その日もまた雲ひとつない快晴。
私たちは伊勢志摩ライナーで奈良へ向かい、駅前で積載車を待った。
ほどなくしてやってきたのは、ギラギラと艶めく赤の車両。
ロータリーに姿を現した積載車は、想像していた “赤” をはるかに超える鮮烈なメタリックレッド。
「ワーオ!」これはもう、婚礼にふさわしい一台だわ。笑
知人と、主人と、私。
三人でその積載車にに乗り込み、AAバンが待つ和歌山へ向かう。
到着すると、オーナーから「裏へ回して」と指示が出る。
ガレージに横付けされる、メタリックレッド。
女性スタッフさんと私たち三人が見守る中、オーナーがバンに乗り込んだ。

静かに荷台が降りる。
エンジンがかかる。
そして——
AAバンが、ゆっくりと傾斜を上がっていく。
迷いのない動き。一度バックし、ぴたりと定位置に収まる。
その一連の動作は、あまりにも静かで、あまりにも美しかった。
私は心の中で拍手を送っていた。
短い言葉を交わし私たちはその場を後にする。
AAバンを載せたまま大阪へ。
阪和道を止まることなく走る。
向かう先は大阪の中心部、週末の四橋筋。
交通量は思ったよりも少ない。

積載車を停め、今度は主人がバンを降ろす。
二日前に実技指導を受けたばかり。
はじめてエンジンをかけたあの日、
この車は想像していたものとは違っていた。
エンジンがかかる。
私は固唾をのんで祈るように見つめていた。
ゆっくりと。ゆっくりと。AAバンが大阪の地を踏む。

真っ黄色の車体が、大都会の街並みに一瞬でシンクロする!
ようこそ、大阪へ。
知人を見送り私たちはガレージへ向かう。この日のために用意した、シャッター付きの保管場所。ドアの開閉で傷がつかないよう保護シートも準備してある。
はじめての車庫入れ。
——そのときだった。
エンジンが、かからない。
「えっ?」
「チョーク引いた?」
「引いてない」
なにが起きたのか。一瞬、空気が止まる。
駐車場が気に入らなかったのかしら。
拗ねるの、早すぎじゃない?と、思わず笑ってしまう。
仕方なく先に備品の搬入を済ませる。
しばらくして——
もう一度、キーを回す。
かかった。
「気まぐれやな」二人で笑う。
何度も切り返しながら、慎重に動かす。ようやくガレージに収まった。

ヘッドライトをつける。看板の灯りもともる。その光の中で、私たちはしばらく、ただただバンを眺めていた。
やっと来たね。
これから、どうぞよろしくね。